「シリコーンオイル」は諸刃の剣?
化粧品の成分を眺めていると、「~ジメチコン」・「~シクロメチコン」・「~シロキサン」といった成分が目につきませんか?実は、これ全て「シリコーンオイル」という成分なのです。
シリコーンオイルは、汗や水を弾く撥水性があり、皮膜効果で髪や肌の潤いを保ち艶も良くしてくれます。しかも、ベトつきがなくサラッとしていて、化粧品の使い心地を良くもしてくれることから、シャンプー、さらにはメイクにスキンケアにと広く利用されています。
しかし、「ノンシリコン シャンプー」という商品があるように、どうやらシリコンによる弊害も危惧されているようです。
■シリコンは金属でもシリコーンオイルは『合成樹脂』!
シリコンそのものは、自然界に存在するケイ石(SiO2)という石から取り出される金属ケイ素(Si)のことです。金属ケイ素は、半導体や太陽光パネルなどに使われています。

一方、化粧品などに使われているのは、そのシリコンをベースに、様々な化学反応により作り出された「シリコーン」という合成樹脂。
シリコーンは、ゴム、液状ゴム、オイルといった性状のものに別れ、耐熱用の食品容器などのキッチン製品をはじめ、コーキング剤など様々な用途で利用されています。その中で、化粧品に使われているのはオイル状のものです。
■シリコーンオイルは安全性の高い成分
撥水性があり、皮膜効果が強く、使用感も向上させられるシリコーンオイルは、今日の化粧品業界にとっては、なくてはならないものです。
そんな良いことづくめのシリコーンですが、髪や肌に害はないのでしょうか?
シリコーンオイルは、物質的に非常に安定している上に、刺激性もありません。何より、水や油に溶けないので肌内部に浸透しませんから、化粧品の成分としては極めて安全性が高いといえます。
■熱にも強く、水にも油にも溶けない『強い皮膜効果』は諸刃の剣
ただ注意すべき点は、その撥水性と強い皮膜効果にあります。シリコーンオイルは水にも油にも溶けませんから、髪や肌に張り付いたシリコーンオイルを落とすのは大変です。
キレイに落とし切れないと、毛穴に詰まったり、皮膚を覆ったまま美容成分の浸透の妨げになる可能性が出てきます。
水と油に溶けないだけに、強い皮膜性は諸刃の剣なのですね。

よく言われることですが、剥がれにくい『シリコーンオイル』でお肌をラップしている様なものですね。
■シリコーンオイルを落とすには『強い洗浄力』が必要
シリコーンオイルを落とすには「油には油で…」という言葉があるように、「シリコーンオイルにはシリコーンオイルで…」が基本的な対応になります。
とはいえ、強く張り付いたシリコーンオイルをきれいに剥がすためには、非常に強い洗浄力が必要になります。
この点を考えると、水や汗に強く、ツヤ感も出すメイク製品へのシリコーンオイルの使用はわかりますが、スキンケア製品への多用は、いかがなものでしようか?

■落とすのが大変なだけに『スキンケア』への多用は…?
スキンケアは、本来肌の持つ潤い成分を大切にするためのツール。
一方洗顔は、皮脂を取り除くことで肌についている汚れを落とすものですから、当然お肌には負担がかかります。
一日が終わって、メイクオフをするために、しっかりと洗顔するのは当然です。その上で、お肌を守ってあげるために、お肌に潤いを与え、蓋をするのがスキンケア。
その蓋に「シリコーン」が多用されていると、その強い皮膜効果で潤いを長時間守ってくれはしますが、翌朝には、そのシリコーンを落とすために、強度の高い洗顔をしないといけません。
この時、せっかく一晩かけて作り上げた潤い成分は、その洗顔と共に多くが溶出してしまいます。これでは本末転倒ですね。

スキンケア製品のライン使いでのシリコーンオイルの重ね塗りや、オールインワン製品での多量な配合は、果たして本当に肌にとっていいのか、どうかは疑問は残ります。
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